ヌマガレイ/カワガレイ:生態や特徴と産地や旬

ヌマガレイ/カワガレイ

●ヌマガレイの生態や特徴

◆ヌマガレイとは

分類:魚類 > 条鰭綱 > カレイ目 > カレイ科 > カレイ亜科 > ヌマガレイ属(日本海洋データセンターより)

学名:Platichthys stellatus (Pallas, 1787)

和名:ぬまがれい/沼鰈

英名:Starry flounder (仏名)Flet étoilé

別名:タカノハガレイ(鷹羽鰈)、カワガレイ(川がれい)

 ヌマガレイはヒラメと同じように左側に目が付いており、『左ヒラメに右カレイ』から言えばヒラメの仲間となってしまうが、分類上はカレイ科ヌマガレイ属のカレイである。日本近海ではそのほとんどが左に目が付いているのだが、アラスカやアメリカ・ワシントン州辺りでは右側に付いている個体も多いそうだ。生息海域によって目の位置が逆になるというのも面白い魚である。

 身体の両側のヒレにはくっきりと黒い帯状の縞があり、これに因んで「タカノハガレイ(鷹羽鰈)」とも呼ばれるほか、汽水域から時には川など淡水域にまで入ってくることから「カワガレイ」等とも呼ばれている。

 学名の”Platichthys”はギリシャ語で『平たい』『幅広い』を表し、種小名の”stellatus”は『星を散らした』『星で飾った』という意味でつけられている。英語名の”Starry flounder(スターリー・フラウンダー)”やフランス語の”Flet étoilé”も学名と同じく、いずれも星をちりばめたヒラメという意味の名が付けられている。これらはヌマガレイの有眼側の体表に小さな丸い突起状のものが無数にあり、これが黒い地に白く星空のように見えることからと思われる。

◆ヌマガレイの生態

 ヌマガレイは福井県以北の日本海、霞ケ浦以北の太平洋沿岸、朝鮮半島からオホーツク海、更に東の方ではアラスカから南カリフォルニアに及ぶ広い海域に分布する。

 水深200m以浅でエビやカニなどの甲殻類や、ゴカイなどの多毛類、小魚などを捕食し生息するが、海岸近くや内湾、河口付近の汽水域に多くみられ、時には河川にまで出現することが知られ、カワガレイとも呼ばれている。

 産卵期は12月頃から5月にかけてで、石狩湾では2~3月に産卵するようだ。

◆ヌマガレイの特徴

ヌマガレイ/カワガレイ

 全長は90cmにもなる大型のカレイで、最大の特徴はヒラメと同じように左側に目があること。ただし、これは日本近海の場合で、太平洋の東側、アラスカ辺りでは約3割はカレイらしく右側に付き、カリフォルニア辺りではその割合が半々くらいになる面白い種である。

 背ビレと臀(しり)ビレ、尾ビレには顕著な黒い帯状の縞が入っており、体表は有眼側は濃い緑褐色、無眼側は白く、いずれの体表にも一般的なカレイのような細かいウロコは無く、皮状の体表に小さな丸い骨質のイボのようなものが無数に散らばっている。ヒレの縞や表皮からサメガレイと似るが、表皮のイボはサメガレイのような棘はない。

 写真のものは体長40㎝程の個体。

●ヌマガレイの主な産地と旬

◆主な産地と漁獲量

 国内では東北地方沿岸から北、主に北海道で漁獲されている。

 棲息域では釣りの対象にはなっているが、商業的に本種を狙った漁は無く、定置網などで他の魚と共に混獲されるにすぎない。味的には他のカレイ類より劣ると考えられており、ほとんどが産地で消費されている。

 ヌマガレイは沼や河川でも釣りなどで獲れる。スズキと同じように、生息する場所の水質や水温が味や香りにかなり影響を及ぼすのではないかと思う。

◆ヌマガレイの漁獲時期と旬

ヌマガレイは通年漁獲されている。産卵期は石狩湾で2~3月となっており、産卵直後の3~5月頃は避けた方が良さそうだ。

旬のカレンダー
旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
ヌマガレイ                        

 
 

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