●ふくむらさきとは

 「ふくむらさき」は農研機構が「九系 255」と「パープルスイートロード」の交配から育成した食味の良い紫サツマイモで、2021年に品種登録された新品種です。

◆ふくむらさきの来歴

紫色のサツマイモ(甘藷)新品種、ふくむらさき

 「ふくむらさき」は農研機構 九州沖縄農業研究センター・畑作研究領域・サツマイモ育種グループにより、高糖度で食味の優れる「九系 255」に現在普及している紫色サツマイモ品種「パープルスイートロード」の花粉を交配し、得られた実生から選抜・育成された食味の良い紫サツマイモ新品種です。

 系統名は「九州 165 号」で、2018(平成30)年に種苗法に基づき「ふくむらさき」という名称で出願、2021(令和3)年に品種登録されました。

 2019(令和元)年から民間の種苗会社などを通じて一般に苗の供給が始まっています。

◆ふくむらさきの特徴

 「ふくむらさき」のイモは「高系 14 号」や「パープルスイートロード」と比べて上イモ1個重が軽く、上イモの収量はすくない。

 「パープルスイートロード」と比べ、1.アントシアニン色価が高く紫色が濃いこと、2.焼きいもの食味官能評価は肉質が粘質で甘味が強く、総合的な評価が優れていることが特徴となっています。糖度は「べにはるか」並となっています。

また、栽培特性では、サツマイモネコブセンチュウ抵抗性が「中」、ミナミネグサレセンチュウ抵抗性は「やや強」となっています。

紫色のサツマイモ(甘藷)新品種、ふくむらさきの断面

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 塊根の形は卵形、塊根の長さ/幅はやや細、塊根の数はやや多、塊根の大きさはやや小、

 塊根の表皮の主な色は紫赤、塊根の表皮の二次色は無、

 塊根の肉の主な色は紫、塊根の肉の二次色は白、塊根の目の深さは浅である。  

 出願品種「ふくむらさき」は、対照品種「パープルスイートロード」と比較して、葉身の裂片の数が5であること、葉身の裏面の葉脈のアントシアニン着色の大きさが無又は極小であること、塊根の直径に対する皮層の厚さがやや厚であること等で区別性が認められる。

 対照品種「高系14号」と比較して、葉身の裂片の数が5であること、塊根の肉の主な色が紫であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみたふくむらさきの食味

 撮影試食したふくむらさきは10月9日に入手した滋賀県産のものです。

 イモの形は全体的に溝や凸凹がなく綺麗な紡錘形で、表皮の色は一般的なサツマイモと大差がなく、外見からは紫サツマイモだということは分かりにくいです。切った断面を見ると、「アヤムラサキ」ほど濃くはありませんが、確かに「パープルスイートロード」よりも紫色が濃いです。

紫色のサツマイモ(甘藷)新品種、ふくむらさきの焼き芋

 焼き芋にして食べてみることにしました。

 割ってみた肉色はこんな感じです。紫色が生の時よりも濃く感じられます。食べてみた感じは、密がにじむような今時のしっとり系という感じではありませんが、ホクホク系でもなく、ややしっとりといった食感で、濃厚ではありませんが十分に甘く、味や香りにクセもないのでとても食べやすいです。

●ふくむらさきの主な産地と旬

紫色のサツマイモ(甘藷)新品種、ふくむらさき

◆主な産地と生産量

 ふくむらさきの苗は一般に販売されており、どこでも栽培することは可能です。

 まだ大きな産地はできていませんが、農研機構としては『関東を中心とする青果用サツマイモ産地において、良食味の紫サツマイモ品種として普及する予定』と見込んでいるようです。

◆ふくむらさきの収穫時期と旬

 ふくむらさきは上いもが小さい傾向があるため早掘りを避け、充分な生育期間を確保する必要があり、在圃日数を150日以上とし、収穫は10月下旬以降にすることが勧められています。

品種 10月 11月 12月 1月
ふくむらさき                        

< 出 典 >

※ 「高糖度で食味が優れる、紫肉カンショ新品種候補系統「九州 165 号」」九州沖縄農業研究センター 成果情報 農研機構

※ 「濃い紫色で食味の良い紫サツマイモ新品種 「ふくむらさき」」農研機構プレスリリース 2018年11月15日

※ 「甘味が強く食味に優れる紫いも品種 「ふくむらさき」」茨城県農業総合センター農業研究所

※ 「登録番号28530 ふくむらさき」農林水産省品種登録データベース