からゆたか:来歴や特徴と産地と旬

さつまいも からゆたか

●からゆたかとは

 「からゆたか」は国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構とする)が「関東123号」と「ベニオトメ」の交配から育成した、短い栽培期間でいもが肥大し、収量性や外観品質に優れるサツマイモ品種です。

◆からゆたかの来歴

 「からゆたか」は農研機構が「関東123号」に「ベニオトメ」の花粉を交配し、得られた実生から育成したサツマイモ品種で、旧系統名は「関東132号」です。育成の過程は下記の通り。

2003(平成15)年 九州沖縄農業研究センターにおいて、ごく多収で蒸切干に向く「関東123号」に、多収で外観に優れる「ベニオトメ」を交配。

2004(平成16)年 作物研究所(現 農研機構 次世代作物開発研究センター)で苗を育成、この後、およそ10年間をかけて選抜育成を繰り返す。

2014(平成26)年 種苗法に基づく登録出願。

2016(平成28)年 品種登録完了。

さつまいも,からゆたか,断面,カラユタカ

 「からゆたか」は品種登録だけで、農林登録はされていません。名称はサツマイモの別名「から(唐)イモ」と、 多収性であることから「ゆたか」を組み合わせ命名されたそうです。

◆からゆたかの特徴

 「からゆたか」のイモの形状は紡錘形でやや大きく、皮の色は赤紫で、条溝や皮脈がなく「ベニアズマ」や「高系14号」に比べて外観が良いのが特徴です。ただ、撮影したものは細長く、形があまり良いとは言えないものでした。

 肉色は淡黄で、肉質は粘質となっており、粘質タイプの焼きいもに適し、その食味は「ベニアズマ」並みとされています。

 栽培面においてはイモの肥大が早く、一般的なものより20日程早く収穫でき、しかも収量は「ベニアズマ」の1.6~1.8倍と、ごく多収となっています。

さつまいも,からゆたか,断面,カラユタカ

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 いもの形状は長紡錘形、

 いもの皮色(基本色)は赤、いもの皮色(補助色)は紫、いもの皮色(濃淡)は中、いもの皮色(分布)は均一、

 いもの肉色は淡黄、いもの暈の多少は無、

 いもの目の深浅はやや浅、

 露地開花性は無、1株当たり上いも個数は多、a当たり上いも重はかなり多、カロチンの多少は無である。

 出願品種「からゆたか」は、対照品種「ベニアズマ」と比較して、茎長がかなり長であること、a当たり上いも重がかなり多であること等で区別性が認められる。対照品種「べにまさり」と比較して、茎長がかなり長であること、a当たり上いも重がかなり多であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

●からゆたかの主な産地と旬

さつまいも からゆたか

◆主な産地と生産量

 「からゆたか」の栽培面積などの情報がなく生産量なども不明です。

 佐賀県唐津市では2015年から本種の産地化をめざして普及がすすめられているようです。

◆からゆたかの収穫時期と旬

 「からゆたか」は早期肥大性が強く、一般的なものよりも20日ほど早く収穫できるのが特徴となっており、早掘り栽培に適しています。

 一般的な品種では5月上中旬に植付けをし、収穫 は10~11月ですが、「からゆたか」は9月中旬には収穫ができます。また、早掘り栽培では4月上中旬に植え付けることで8月上旬から収穫できるようです。

「高系14号」や「ベニアズマ」を上まわる 適応性がある。短期間でいもが肥大 して収量を上げることができ、蒸しいもの 糖度も「高系14号」並であるため、栽培期 間の短い地域や早掘栽培への導入に適して いる。

品種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
からゆたか 収穫時期                        

●「からゆたか」の写真ギャラリー

撮影機材: CANON EOS R5 , SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO

ロゴなし元画像サイズ:約4500万画素 8192X5464pix 350dpi RAWデータあり

< 出 典 >

※ 「いもの肥大が早く、ごく多収の青果用サツマイモ新品種「からゆたか」」 農研機構プレスリリース 2014年11月20日

※ 「からゆたか(青果用)―早期肥大性のサツマイモ新品種―」 一般財団法人 いも類振興会 いも類振興情報 122号 p.3~5 2015/01/15

※ 「登録番号25553 からゆたか」農林水産省品種登録データベース

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