ヨコスジフエダイ(横筋笛鯛):生態や特徴と産地や旬

ヨコスジフエダイ(横筋笛鯛) タルミ

●ヨコスジフエダイの生態や特徴

◆ヨコスジフエダイとは

分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ亜目 > フエダイ科 > フエダイ属(日本海洋データセンターより)

学名:Lutjanus ophuysenii (Bleeker, 1860)

和名:よこすじふえだい/横筋笛鯛

英名:Brownstripe red snapper、Spotstripe snapper

別名:タルミ(和歌山・相模湾)、アカヤケ、アカイセギ(宮崎、高知、)、アカイサキ(鳥取)、キビノウオ、フールーヤー
 ※「食材魚貝大百科(平凡社)より

 ヨコスジフエダイはフエダイと同じフエダイ科フエダイ属の一種で九州をはじめ西日本で多く獲れる魚だ。産地では比較的安い魚なのだが、臭みやクセのないやや淡白な白身はいろいろな料理に使いやすく関東や関西などの都市部では料理店向けにやや高級魚として扱われている。

 産地でなければスーパーなどで見かけることはほとんどなく、切り身で買うこともないと思われるが、魚をさばくことができるのであれば家庭でも色々楽しめる魚としてお勧めしたい。

◆ヨコスジフエダイの生態

 ヨコスジフエダイは沿岸の岩礁域で小魚などを捕食し生息する。今回入手したものの口や胃の中から小さなアジやキンメモドキなどが出てきた。

 フエダイの類は暖海性のものが多いが、本種は温帯域に多く、沖縄辺りには分布していない。

ヨコスジフエダイ(横筋笛鯛) タルミ キンメモドキ

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は新潟県〜九州北岸・西岸の日本海・東シナ海沿岸、宮城県南三陸、千葉県館山湾〜九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海に分布する。また、海外においては朝鮮半島南岸、台湾、福建省、中国南シナ海沿岸となっている。

◆ヨコスジフエダイの特徴

 ヨコスジフエダイは全長40cmほどの魚で今回撮影したものは全長38cm0.9kgであった。

 体形はフエダイ属に通じるタイ型だが体型がよく似るタイ科やフエフキダイ科の魚とは違い上下のアゴに鋭い歯を持っている。

ヨコスジフエダイ(横筋笛鯛) タルミ

 ヨコスジフエダイの体色は全体に薄い赤紫で、口の先から尾柄まで体側に一本の黄褐色の線が入っており、体側中央辺りの側線下部に先の黒線と重なるように楕円の暗色班があるのが特徴的。黒い線は個体によって途中かすれたり消えたりしていることもある。

ヨコスジフエダイ(横筋笛鯛) 斑紋

 また、よく見るとウロコの並びに沿って黄色い線が幾筋も入っており、側線より下部は前から後ろに向けて一直線だが、側線より上では斜め後方上に向けて並んでいる。

 近縁種のタテフエダイに似るが、タテフエダイの体側の線はかすんだりせず明瞭で、体側中央に楕円の黒斑がないことで見分けられる。

 また、前鰓蓋骨後部下縁に小鱗がないことでも区別できる。

ヨコスジフエダイ(横筋笛鯛) 前鰓蓋骨後部下縁

●ヨコスジフエダイの主な産地と旬

◆主な産地と漁獲量

 フエダイ属は暖海性の魚が多いのだがヨコスジフエダイは主に九州沿岸のほか日本海側の山口県から鳥取県あたりでも多く漁獲されている。今回入手したものは長崎県産。以前福岡県の直売所で大量に安く売られているのを見かけたこともあった。

 釣りをはじめ定置網や刺し網などで漁獲されるが、漁獲量に関する資料は見当たらず不明。

◆ヨコスジフエダイの漁獲時期と旬

 ヨコスジフエダイは通年漁獲はあるようだが、鳥取県や山口県、長崎県辺りでは初夏から秋口辺りまでが漁獲が増える時期となっており、その時期が旬とするところもある。

 一方で産卵期は6月後半から8月前半と考えられているので、それを考えると生殖巣が発達し始める前の冬から春となる。

 ただ、フエダイの類は年間を通して大きな差が出にくい魚なのであまり時期にこだわる必要はないのかもしれない。今回入手したものは5月下旬の獲られた長崎県産だが、十分に美味しく感じられた。

旬のカレンダー
旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
ヨコスジフエダイ                        

●フエダイ属の仲間


< 出 典 >

 ※ 「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会

 ※ 「食材魚貝大百科」平凡社

 ※ 「フエダイ科魚類の生活史の解明と資源管理法の確立」宮崎大学 岩槻 幸雄


 
 

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