●きたかむい/キタカムイとは

 「きたかむい」はホクレンが「イエローシャーク」に「とうや」を交配し育成したシストセンチュウに抵抗性があり、「男爵薯」より多収で調理特性に優れた早生の馬鈴薯です。

◆キタカムイの来歴

 「きたかむい」は、ホクレン農業総合研究所において1997年、サカタのタネがパンアメリカンシードカンパニー(アメリカ合衆国)から導入した種子から選抜育成した「イエローシャーク」に、ジャガイモシストセンチュウに抵抗性がある「とうや」を交配し、得られた実生から選抜育成され、2004(平成16)年から系統名「HP01」として試験を受けた馬鈴薯です。

 2007(平成19)年に「ばれいしょ北海道第48号」として北海道優良品種に認定され、2008(平成20)年に種苗法に基づく登録出願、2010(平成22)年に品種登録されています。

◆「きたかむい」の特徴

 「きたかむい」のイモは球形で、皮の色は淡黄褐色で目はやや浅く数も比較的少ない。

 中の肉色は白系で、枯凋期は「男爵薯」並の早生で、休眠期間も「男爵薯」並のやや長となっています。

 肉質的には「男爵薯」よりもでん粉価は低いですが、皮をむいた後も褐変しにくく、煮崩れや調理後の黒変が少ないなど調理特性に優れています。

ジャガイモ きたかむいの断面

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 塊茎の形は球形、塊茎の目の数は少、塊茎の目の基部の色は白、

 塊茎の皮色は淡ベージュ、塊茎の表皮のネットはかなり少、

 塊茎の肉色は白、

 枯ちょう期は早、上いも重は中、上いも数はやや少、上いもの平均重は中である。 

 出願品種「きたかむい」は、対照品種「男爵薯」と比較して、花冠の内面のアントシアニン着色の広がりが無又は極小であること、塊茎の目の深さがやや浅であること等で区別性が認められる。

 対照品種「とうや」と比較して、塊茎の皮色が淡ベージュであること、塊茎の肉色が白であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆「きたかむい」の調理特性を検証

 「きたかむい」を皮をむいて半分に切ってたものと、皮付きのままのものを水煮にして茹で上がりの状態を見てみました。いずれも竹串がスッとイモを突き抜ける状態になるまで茹でています。

 まず、皮をむいて茹でたものは、面取りをしていなくても茹で上がったものはほとんど煮崩れることなく綺麗な形のままでした。手前は手で割ってみたものです。「男爵薯」であれば少し白っぽい粉状になる部分がみられますが、そういった感じにはならず、食べてみた食感はやや粘質で、食感は柔らかく滑らかでした。

皮をむいて半分に切ってから茹でた「きたかむい」

 「きたかむい」は肉崩れしにくいということがよく分かります。煮物に適したジャガイモであるということが裏付けられました。

皮付きのまま茹でてから皮をむいた「きたかむい」

 次に、皮付きのまま茹でて、ゆであがってから皮をむいてスライスしたものです。

 皮は綺麗に向け、スライスも崩れることなく切った角もそのまま残っています。

 スライスする際も、芯の部分も刃先がスーッと通り過ぎる感じでした。

 食感もやや粘質のため、粉粉し過ぎず、適度にほっくりとしているので、ドゥフィノワなどグラタンにもよく合うタイプと言えます。

皮付きのまま茹でてから皮をむいた「きたかむい」

 また、「きたかむい」は貯蔵によるでん粉の糖化が進みやすい品種と言われており、しっかりと貯蔵されたものは甘みがでて美味しくなるようです。

●「きたかむい」の主な産地

ジャガイモ キタカムイ

◆主な産地と生産量

 「きたかむい」の主な産地は北海道です。令和2年の北海道の作付面積は699haとなっており、これは北海道の馬鈴薯栽培面積の1.5%にあたります。

 「きたかむい」の種イモは色々な種苗販売会社からだれでも購入することができ、国内のどこでも栽培することが可能です。

< 出 典 >

※ 「ばれいしょ新品種候補系統「HP01」の概要」北海道立総合研究機構

※ 「農作物優良品種の解説 (2005-2013) ばれいしょ」北海道立総合研究機構農業試験場資料第41号 p.39 北海道立総合研究機構

※ 「令和5年北海道における馬鈴しょの概況」公益社団法人 北海道農産基金協会

※ 「登録番号19543 きたかむい」農林水産省品種登録データベース