ホタテガイ/ほたて貝/帆立貝

ホタテガイ/ほたて貝/帆立貝

●ホタテガイの生態や特徴

◆ホタテガイとは

分類:動物界 - 軟体動物門 - 二枚貝綱 - 翼形亜綱 - Pectinoida(イタヤガイ)目 - Pectinoidea(イタヤガイ)上科 - イタヤガイ科 - Chlamydinae亜科 - Fortipectinini族 - Mizuhopecten属(日本海洋データセンターより)

学名:Mizuhopecten yessoensis (Jay, 1857)

和名:ほたてがい/帆立貝

英名:Japanese scallop

別名:単に”ホタテ”、貝柱

 ホタテガイはイタヤガイ科の二枚貝で食用の貝としては冷凍物も含め一般のスーパーなどでも極普通に売られ、とても身近な食材の一つ。

 ホタテガイは単に”ホタテ”と呼ばれる他、料理では貝柱だけを使うことも多く、単に”カイバシラ”と言えばホタテガイの貝柱を指すと思ってもいい。

 フランス料理では"coquille Saint-Jacques(コキーユ・サンジャック)"や"petoncle(ペトンクル)"と料理名に記されることも多い。coquille Saint-Jacquesは「聖ヤコブの貝」を意味し、日本のホタテガイよりもイタヤガイに近い別種。また、petoncleはやはり同じイタヤガイ科の別種で小さなものや稚貝を指している。

◆ホタテガイの生態

 ホタテガイは寒海性の貝で、能登半島以北の日本海沿岸、千葉県以北の太平洋沿岸、更に千島列島、カムチャッカ半島、朝鮮半島北部から沿海州にかけての沿岸に分布し、主に水深20~30mの砂底で植物プランクトン等などを食べて生息している。

ホタテガイ/ほたて貝/帆立貝

 産卵期は北に行くほど遅く3月頃から北国でも春となる6月にかけてで、孵化してから4~5年で殻長15cm程に成長する。寿命は10年程とみられる。

 ホタテガイは通常色が白っぽく膨らみがある側を下にし、海底で殻を少し開けた状態でじっとしているが、ヒトデなどの外敵に襲われると殻を上下に開閉し、勢いよく水中を泳ぐように逃げることができる。この泳ぐ時は上下の殻の蝶番(ちょうつがい)とは逆の、殻が開く方向に進む。

◆ホタテガイの特徴

 ホタテガイは殻長20cm前後の扇型の二枚貝で、左右で殻の色や形が違うのも特徴。少し丸く膨らんでいる方が右の殻で、そちらの殻は外側が白っぽく、もう片方は平らに近い形で外側は紫褐色。白い右の殻の方が若干大きい。

ホタテガイ/ほたて貝/帆立貝

 殻の表面には放射肋(ほうしゃろく)と呼ばれる波状の起伏が蝶番の中央辺りから放射状にあり、樹の年輪と同じように季節による成長の緩急によって成長輪と呼ばれる模様ができている。これにより何年物かが分かる。

ホタテガイ/ほたて貝/帆立貝

 中の軟体部分は殻の内側に張り付くように外套膜があり、この外縁部分がいわゆる「ホタテのヒモ」と呼ばれる部分にあたる。殻の中央付近に貝柱(閉殻筋)があり、左右の殻がつながっている中央に黒いゴム状の蝶番(ちょうつがい)がある。そのすぐそばにウロと呼ばれる黒っぽく丸い中腸線などの内臓があり、貝柱を取り巻くようにエラと生殖腺が付いている。

ホタテガイの構造/ほたて貝/帆立貝

 外套膜の外縁に小さな黒い斑点が沢山並んでいるが、これがホタテガイの眼点と呼ばれるもので、これにより光を感じることができる。

●ホタテガイの主な産地と旬

◆ホタテガイの養殖

 ホタテガイは養殖も盛んで、市場には天然物とされているものと養殖物があるが、天然物とされているものも、そのほとんどは養殖稚貝を自然の海に地撒き放流し数年成長させて漁獲されたもので、100%天然の物は極わずかとなっている。

ホタテガイ/ほたて貝/帆立貝

 ホタテガイは卵が孵化して幼生となり、一月あまり海中を浮遊した後、何かに付着するのだが、この性質を利用しこの時期に採苗器を海中に沈め幼生を付着させ、殻長0.8~1.0cm程に成長した頃合いに引き上げ採取する。

 今度はその稚貝を籠に移し殻長3cm程になるまで海中で中間育成し、3.5~5cmに成長した稚貝をベビーホタテとして出荷する。

殻付きホタテ稚貝

 さらにそれを自然の海に地撒き、または籠に入れて更に海中で養殖したり、耳吊り養殖され、養殖で約2年後(孵化してから約3年)、地撒きで約3年後に漁獲され出荷される。

 地撒きされたものも自然界で自由に身動きができる状態で、飼料を与えて育てる訳ではないので、味や質は天然物と同じと考えてよいため、市場にも天然物として出荷される。

◆主な産地と漁獲量

全国のホタテガイ漁獲量

 ホタテガイの主な産地は言わずと知れた北海道である。道内の主な海域はオホーツクや宗谷で、この両方合わせると全国の8割以上を占める。この漁獲量には純天然物だけではなく、種苗放流されたものが混獲され含まれていると考えられる。北海道以外では青森県でもわずかに漁獲されている。

養殖ホタテガイの収穫量

 また、養殖ホタテの収穫量を見ると、ほぼ上記の漁獲量と同じ水揚げ量となっている。こちらは北海道よりも青森県の方が多く、宮城県や岩手県でも養殖されているのが分かる。

◆ホタテガイの漁獲時期と旬

ホタテガイ/ほたて貝/帆立貝

 ホタテガイの産卵期は春で、産卵に向け生殖巣が発達し身全体が大きくなる冬が旬と言われている。特にひも付きでボイルされるものは産卵前の最も身が大きくなる時期に水揚げのピークを迎える。

 ただし、貝柱自体の味という点では産卵後5月頃から7月にかけて、甘味として感じるグリコーゲンが最大となり 美味しい旬となる。網走の地撒き物の操業はこの時期に行われている。

旬のカレンダー
旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
ホタテ(ひも付き)                        
貝柱                        

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