●サンヴェルデとは

 「サンヴェルデ」は農研機構が「ダークリッジ」と「センテニアル」から交配・育成した大粒の黄緑色ブドウ品種で、皮ごとは食べられませんが甘く食味の良いぶどうです。

◆サンヴェルデの来歴

 「サンヴェルデ」は農研機構が「ダークリッジ」に「センテニアル」を交雑して得た実生から選抜育成した、大粒で果皮の色が黄緑色のブドウ品種です。育成の過程は下記のとおりです。

サンヴェルデ ぶどう

1993(平成5)年 果樹試験場安芸津支場(現 農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点)において「ダークリッジ」に「センテニアル」の果粉を交配。種子を得る。

1994(平成6)年 播種。実生を養生後、5月に個体番号「384-25」を付けて選抜圃場に定植。

1995(平成7)年 初結実。

2002(平成14)年 一次選抜。

2004(平成16)年 系統名「ブドウ安芸津 25 号」を付けてブドウ第 11 回系統適応性検定試験に供試。

2010(平成22)年 平成21年度 落葉果樹系統適応性・特性検定試験成績検討において新品種候補となり、果樹試験研究推進会議において品種登録出願が決定、同年7月種苗法に基づく登録出願。

2011(平成23)年 品種登録完了。

2012(平成24)年 「ぶどう農林25号」として農林水産省の農林認定品種とされた。

 交配に用いられた「ダークリッジ」は「巨峰」と、「巨峰」と「ナイヤベル」の交配系統である「301-1」との交雑実生から選抜育成された大粒で着色しやすい紫黒色のブドウ品種で、「センテニアル」は二倍体品種「ロザキ」の四倍体枝変わり品種で、肉質が崩壊性で大粒の黄緑色ブドウ品種です。また、「巨峰」の交配親でもあります。

 「サンヴェルデ」は後述する品種特性により、市場出荷用としてより観光農園や直売所向けブドウ品種として奨励されており、食味は良いにもかかわらず、品種登録されてから10年以上経つ2023年の時点でも一般のスーパーなどに並ぶことはほとんどなく、知名度は低い品種です。

◆サンヴェルデの特徴

 「サンヴェルデ」は自然栽培では種子が入りますが、通常はジベレリン等の処理により無核化されています。

 果粒は果粒重14gほど、長さ3~4cm、直径2.5~3cmほどの長楕円形で、シャインマスカットと同じくらいになります。

サンヴェルデ ぶどう

 果皮色は黄緑色で、皮は比較的手では剥きにくいですが、口の中では果肉と分離しやすいです。ただ、噛みきるには硬いので皮ごと食べることはできません。

 果肉は欧州ぶどうに近い崩壊性で硬く、シャインマスカットに似ていますがマスカット香は無く、糖度は21%程度、酸含量は0.4g/100ml程度になり、「巨峰」、「ピオーネ」より高糖度、低酸含量です。

サンヴェルデのサビ果 ぶどう

 このブドウの欠点としては、果粒にサビが発生し,果実の外観 を損ないやすい傾向があることです。これは開花後に花冠(花弁の集まり)が離脱しにくいため、残ってしまった花冠によって果粒表面が傷ついてしまう事によるものだそうで、害虫や病気によるものではありません。また、見た目は悪いですが食味には影響しません。

 このサビによる見た目の悪さから市場向け品種ではなく、ブドウ狩りなどの観光農園や直売所向け品種となっています。

サンヴェルデの果粒断面 ぶどう

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果房の大きさは小、果房の着粒密度は粗、穂梗の長さは極長、穂梗の色は緑、

 果粒の大きさは極大、果粒の形1は倒卵形体、

 果皮の色は黄緑、果粉の多少は中、果皮の厚さは中、果皮と果肉の分離性は中、

 肉質は崩壊性、果汁の甘味はやや高、果汁の多少は多、果実の香りは無、熟しょうの色は暗褐、花振るいの多少は多である。

 出願品種「サンヴェルデ」は、対照品種「ハニービーナス」と比較して、果房の大きさが小であること、果粒の形1が倒卵形体であること、果実の香りが無であること等で区別性が認められる。

 対照品種「翠峰」と比較して、成葉の上裂刻の深さが浅であること、果房の大きさが小であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみたサンヴェルデの食味

 撮影試食したサンヴェルデは8月下旬に購入した滋賀県産で、果房重784gでした。

皮をむいたサンヴェルデの果肉ぶどう サンヴェルデ ぶどう

 果粒の形はシャインマスカットに似ていますが、皮はシャインマスカットよりも薄くて透明感がありますが、手で綺麗に剥くのは難しいです。試しに湯剥きも試して見ましたがあまり変わりませんでした。皮ごと食べると硬く噛みきりにくいので、一緒に食べてしまうことはできませんでした。ただ、口の中では意外に皮と身が分離しやすく食べにくさは感じません。

 果肉は歯切れがよく果汁も多くて、甘味が強く酸味は甘味に隠れてしまう程度しかありません。それでいて甘ったるさはなく、いくつでも食べられる感じです。香りは強くはなく、食べた時にほんのり鼻から抜けていくブドウらしい香りが感じられました。計った糖度は19.3~21%でした。

 印象としては外見、食味ともにそこそこ良いのですが、味に深みがなく高級な品種ではなく、身近な美味しいぶどうといった感じでした。

●サンヴェルデの主な産地と旬

◆主な産地と生産量

サンヴェルデ ぶどう

 サンヴェルデは耐寒性があまりなく、東北地方南部以南の「巨峰」栽培地域に適した品種となっています。

 令和2年産特産果樹生産動態等調査には記録がなく、各地の栽培面積などは不明です。

 市場出荷向けではないため、産地化されているところはないようですが、各地のブドウ産地でブドウ狩りの一品種としてや、個々の農園が少量栽培し、直売所や直販などで販売されている程度と思われます。

◆サンヴェルデの収穫時期と旬

 サンヴェルデの収穫時期は産地によって多少幅はありますが、早い所では7月中旬頃から始まり、9月上旬頃までとなります。

品種 6月 7月 8月 9月
サンヴェルデ                        

< 出 典 >

 ※ 「ブドウ新品種 ’サンヴェルデ'」果樹研究所研究報告 17号 p. 19-38 2014年3月 農研機構

 ※ 「大粒で食味の良いブドウ新品種「サンヴェルデ」」農研機構プレスリリース

 ※ 「登録番号20821 サンヴェルデ」 農林水産省品種登録データベース

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