伊豆錦(いずにしき):来歴や特徴と産地や旬

伊豆錦(いずにしき) ぶどう ブドウ

●伊豆錦とは

◆伊豆錦の来歴

 「伊豆錦」は「ピオーネ」の生みの親である井川秀雄氏によって1970(昭和45)年に「カノンホールマスカット」と「巨峰」を交配し、さらに「カノンホールマスカット」を戻し交配し育成された大粒で紫黒色の早生品種です。

伊豆錦(いずにしき) ぶどう ブドウ

 1976(昭和51)年に井川公氏(秀雄氏の亡くなった息子さんの奥様)によって登録出願され、1980(昭和55)年に品種登録されています。

 「伊豆錦」は「ピオーネ」以上に大粒になるぶどうとして注目され、井川氏を支えるために設立された井川ブドウ協会によって広められ、その後の研究資金の調達にも大きく貢献した品種だそうです。


◆伊豆錦の特徴

 「伊豆錦」は円錐形の大きな房になり、果粒の形はやや縦長楕円形で大きさは17g~20g程度、ジベレリンによる種無し処理をすることで平均32gにもなる大粒種です。脱粒しにくく棚持ちが良いのも特徴です。

伊豆錦(いずにしき) ぶどう ブドウ

 果皮色は紫黒色で着色しやすく 果肉は崩解性で締りがよく、糖度は平均で17~18度、高い物では20度にもなる甘みの強いブドウです。

伊豆錦(いずにしき) ぶどう ブドウ

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

 『-----

 花房は有岐円錐形であるが、房重400g程度に房づくりしたものは短円錐形となる。

 粒着密度は中程度、果粒の形状はやや丸味のある短楕円形で、果皮色は紫黒色、色あがりは「ピオーネ」よりも早い。

 果粒の肥大は成熟後期において他の品種に比べて大きく、粒重は17~20g程度、大きいものは20g以上となり、裂果は通常みられない。

 肉質は崩解性で果肉のしまりは「巨峰」よりも良く、糖度は平均17~18度程度であるが、20度に達することもある。

 花振い性は「巨峰」「ピオーネ」よりも少く、やや強勢の結果枝でもよく着粒する。

 育成地(静岡県伊豆長岡町)での成熟期は8月下旬~9月上旬で露地栽培できる品種である。-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた伊豆錦の食味

 今回試食したものは2019年産の岡山県産で、この年の天候により他の品種でもそうだったように、この「伊豆錦」も本来の紫黒色よりは色が薄い物でした。 伊豆錦(いずにしき) ぶどう ブドウ

 果粒はしっかりと果梗に付いていて強く引っ張らないと外れないほどでした。皮ごと口に入れて食べてみると、強い甘さが口に広がり、続いてしっかりとした渋みが感じられました。皮は厚みがあり、食べられず出すことになります。

 皮は手で剥きやすく、果肉だけを食べてみると甘さで口の中が満たされ、程よい酸味もありとても美味しいです。ただ、それでもわずかに渋みがありました。

 果肉の食感はとても強く、噛んだ時にグミっとした歯触りが伝わってきます。

●伊豆錦の主な産地と旬

◆主な産地と栽培面積

伊豆錦の栽培面積

  「伊豆錦」は「カノンホールマスカット」の特性上、ある程度の気温が求められるようで、比較的温暖な地域が栽培適地となっています。

 主な産地は長崎県や群馬県で、農林水産省がまとめた平成29年産の栽培面積で見ると長崎県2.8ha、群馬県2.4haとなっています。その他秋田県や山口県で作られています。

 このデータには載っていませんが、その他の産地でも個々の農園で少量ずつ栽培されています。ただ、全国的に栽培面積は少なく収穫量も限られているので一般の市場に出回る数はわずかです。

◆伊豆錦の収穫時期と旬

 「伊豆錦」の熟期は育成地の静岡県で8月下旬~9月上旬となっています。

 市場に出回る旬の時期は9月上旬辺りとなります。購入したい場合は個々の農園に問い合わせをしてみるか、産地の直売所などで販売されていることが多いので覗いてみてはいかがでしょうか。

旬のカレンダー

品種 8月 9月 10月 11月
伊豆錦                        

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