にこにこベリー:来歴や特徴と産地や旬

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●にこにこベリーとは

 「にこにこベリー」は宮城県が「もういっこ」と「とちおとめ」を交配し12年間かけて選抜育成し、2020年から本格出荷が始まったオリジナルイチゴ新品種です。整った円錐形で見栄えが良く、甘味と酸味のバランスが良いいちごとなっています。

◆にこにこベリーの来歴

 「にこにこベリー」は宮城県農業・園芸総合研究所において、「もういっこ」と「とちおとめ」の交配から選抜育成されたました。育成の過程は下記の通りです。

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2005(平成17)年 「もういっこ」に「とちおとめ」の花粉を交配、得られた実生を育成し、早生性の4系統を選抜。

2012(平成24)年 年内収量が多く、果実形質の良い2系統を選抜。

2015(平成27)年 現地適応性及び養液栽培への適応性が良好な成績で、「とちおとめ」と同程度以上の早生性で、果形が良く果実硬度の高い系統「C-2」を選抜。

2017(平成29)年 品種名を「にこにこベリー」と命名し、3月に種苗法に基づく品種登録出願、8月に公表。

2018(平成30)年 県内の産地で試験栽培開始。

2019(令和元)年 栽培が本格化し、市場デビュー

2020(令和2)年 本格的な出荷開始。

 「にこにこベリー」という名称は『作り手、売り手、さらには手に取って食する全ての人が笑顔になるいちご』という想いが込められているそうです。

◆にこにこベリーの特徴

 「にこにこベリー」の果実はきれいな円錐形で乱形果の発生が少なく、果肉はやや硬めで、果肉も赤く、甘味と酸味のバランスが良いのが特徴となっています。

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 果肉がしっかりとしており、日持ちが良く、輸送性にも優れています。

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 農林水産省の品種登録データベースには2023年1月の時点ではまだ登録が完了しておらず、詳細は公表されていません。

◆実際に食べてみたにこにこベリーの食味

 撮影試食した「にこにこベリー」は12月19日に届いた山元いちご農園さんに予約していた大粒 12~15粒 2パック入り4450円(税、送料込)で、届いたものは15粒入りでした。

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 イチゴの大きさは平均25.5gで、やや大粒といった感じです。果皮の色は綺麗な赤い色ですが、どれも肩までしか着色しておらず、見るからにまだ未熟でした。これは贈答向けの発送品という事で、あえて果肉が硬い未熟なうちに収穫して発送しているのかもしれません。実際に届いたものは写真の通り宮城県から滋賀県までの輸送を経てもとても綺麗な状態でした。

 ただ、食べた食味はとてもがっかりするものでした。果肉が十分に赤くなっている先の方だけ食べるとそこそこ甘味もあり美味しいので「にこにこベリー」自体のポテンシャルは高いと思うのですが、果実の上半分、実際に食べる割合では半分以上がゴリゴリと硬く甘味もなく、こんな未熟なうちに収穫してしまうのがもったいないと思ってしまいました。糖度を計ると先の赤い部分だけでも11~12.3%でした。

 正直、同じ時期に普通にスーパーで買った1パック500円ほどの「紅ほっぺ」の方がずっとおいしいと感じました。

 時期的にまだ早いこともあるので、春になってから完熟あるいはそれに近い状態の「にこにこベリー」を試してみたいと思います。

●にこにこベリーの主な産地と旬

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◆主な産地と生産量

 「にこにこベリー」は宮城県のオリジナル品種という事で、県内でのみ栽培が可能となっています。主な産地は亘理郡の亘理町、山元町で、令和2年の県内の栽培面積は約10haほどのようです。

◆にこにこベリーの収穫時期と旬

 「にこにこベリー」の収穫は11月下旬ごろから始まり6月頃まで続きます。

 最盛期は1月から4月頃までです。

品種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
にこにこベリー                        

< 出 典 >

 ※ 「宮城県オリジナル一季成りいちご品種 「にこにこベリー」」宮城県ホームページ

 ※ 「【宮城県亘理(わたり)町、山元(やまもと)町】いちごの一大産地・宮城の新品種 にこにこベリー」Apron 2021.03 全国農業協同組合連合会

 ※ 「普及に移す技術第93号/普及技術3」宮城県「普及に移す技術」第 93 号(平成 29 年度)

 ※ 「出願番号31970 にこにこベリー」 農林水産省品種登録データベース

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