ハマトビウオ(浜飛魚):目利きと料理

ハマトビウオ,オオトビ,Cheilopogon pinnatibarbatus japonicus

 ハマトビウオ(浜飛魚)を選ぶ際のポイント、目利きや見分け方、さばき方をはじめ、美味しい食べ方と調理方法、主な料理、料理レシピなどを沢山の写真と共に紹介します。

●ハマトビウオの目利きと調理のポイント

◆買うときのチェックポイント

 同じ魚を買うにしても鮮度や質が良いものを買いたいですね。失敗しない一番の近道は信頼できる魚屋さんを見つけ、お得意さんになること。とはいっても、普通の家庭ではなかなかハードルが高いかもしれません。そこで、素人でもチェックできるポイントをいくつか紹介しておきます。

 ハマトビウオは全長50cmほどになる魚ですが、雄と雌ではやや大きさに差があります。オスは44cm程までのものが多く、雌は子持ちで「特大とび」と呼ばれる47cmを越えるものが多いようです。雄の白子も美味しいですが、トビコの原料となる真子も楽しみたいなら47cm以上のものを選ぶといいでしょう。

 鮮度的には魚の眼がドーム状にふくらみがあり、澄んでいて黒目がくっきりとしているものが新鮮です。眼が乾いて窪んでいたり白濁しているものは鮮度が落ちてきています。

ハマトビウオ,オオトビ,Cheilopogon pinnatibarbatus japonicus

 そして、エラブタを開けてみて中のエラの色をチェックします。鮮やかな赤い色をしていて、鰓耙(さいは)の白とのコントラストがはっきりとしているものが新鮮。澱んでいたり茶色っぽくなっているものは鮮度が落ちています。

◆調理のポイント

 ハマトビウオもさばき方は他のトビウオと同じです。ウロコは班単に落とせ、三枚におろしてから皮は頭側から手でむくことができます。

 トビウオ(飛魚)のさばき方 →

三枚におろして皮を剥いたハマトビウオのフィレ

 他のトビウオもそうですが、ハマトビウオも血合い骨(小骨)が尾近くまでしっかりと沢山あるのが難点。骨抜きで抜くことはできますが、数が多くとても面倒です。サイズ的にもトビウオとしては大きいので、血合いの部分で背側と腹側に切り分け、血合い骨を包丁でそぎ落とす方が早いです。

 身質は透明感があり青魚の臭みはあまり感じられません。また、脂肪分が少なく淡白で、単に加熱調理すると身が締りパサつきやすいです。

●ハマトビウオの美味しい食べ方と料理

◆ハマトビウオの刺身 姿造り

 ハマトビウオを姿造りにしたもの。三枚におろし、皮を剥いてから血合い骨を削ぎ取って切りつけている。

ハマトビウオの刺身 姿造り

 臭みがなく、適度な食感があって、あっさりしてるのでいくらでも食べられる感じ。

◆ハマトビウオのからし酢味噌和え

 刺身と同じように血合い骨も取り除いてから細切りにし、刻んだショウガとネギを混ぜ、からし酢味噌をかけたもの。

ハマトビウオのからし酢味噌和え

 これは単に醤油で食べる以上に美味しい。酒が進んでしまう味だ。

◆ハマトビウオのマリネ

 ハマトビウオの血合い骨を取り除き、表面にニンニクを塗り、塩をしてフェンネルをのせ、オリーブ油をからめておく、一晩馴染ませたものを薄くスライスし、皿に敷き詰め、塩胡椒、オリーブ油、フェンネルを散らし、ハニーライムを絞る。

ハマトビウオ,マリネ,カルパッチョ

 ハマトビウオは身質が淡白なのでオイルとの相性もいい。塩をすることで身が甘く感じられて美味しい。

◆ハマトビウオのポワレ

 ハマトビウオを三枚におろし、皮を剥き、血合い骨を抜く。

 塩胡椒を振りニンニク、ローズマリーと共にオリーブ油でカリっと焼き上げる。

ハマトビウオのポワレ

 香ばしい香りで美味しく食べられる。今回は皮を剥いたが、ポワレであれば皮付きのままでも美味しい。

◆ハマトビウオの唐揚げ

 三枚におろし、皮を剥いた切り身に塩胡椒を振り、酒をからめてからから片栗粉をまぶし、油でカラッと揚げる。

ハマトビウオ,オオトビ,唐揚げ,フリット

 産地の屋久島では定番となっている唐揚げ、今回は姿のままではなく、上品に切り身で揚げている。

 サクッとした食感で、身はやや締まる感じですが味は良いです。

◆ハマトビウオのフライ

 三枚におろし、血合い骨を丁寧に抜いてから衣をつけて揚げたもの。

ハマトビウオ,フライ,カツレツ

 サクッとした衣と、身はわりとふっくらと上がって食感的にはアジフライに似た感じ。

 クセや臭みがあまりないので、アジフライと同じような味わいで美味しい。

ハマトビウオ,フライ,カツレツ

◆ハマトビウオのコンフィ

 身に脂が少ないのであればと、オイルの中でじっくりと火を通すコンフィにしてみた。

ハマトビウオのコンフィ

 ハマトビウオは胸ビレと共に頭と尾ビレ、腹ビレを落とし、腹の中を綺麗にしてから真ん中で二つに切り分ける。

 塩をしっかりとふり、しばらく馴染ませてから、染み出た水分をふき取り、ニンニクと共に鍋に入れ、ひたひたに浸かる程度のオリーブ油を注ぐ。

 IHヒーターで保温モードで数時間かけ、じっくりと火を通す。

 粗熱を取ってから冷蔵庫で一晩落ち着かせる。

 食べる時はそのまま温めて食べてもいいが、フライパンで軽く表面を焼くか、200度のオーブンで表面がカリッとなるように焼き上げても美味しい。

◆ハマトビウオのエスカベッシュ

 タマネギ、ニンジン、フェンネル、パプリカを細切りにし、砂糖を加えた白ワインビネガーにさっと煮ておく。

 切り身にしたハマトビウオに塩胡椒を振り、小麦粉をまぶして油で揚げる。揚がったらすぐに先に作った野菜の煮汁に漬け込む。

ハマトビウオ,オオトビのエスカベッシュ

 暖かいうちに食べても美味しいですが、冷蔵庫で一晩馴染ませたものもお勧めです。2~3日は日持ちもします。

◆ハマトビウオのグリル

 ハマトビウオは焼くとパサつきやすい魚なので、塩を振ってからオリーブ油をかけてグリルしてみました。

ハマトビウオ,オオトビのグリル

 やはり単に塩焼きにするよりも美味しく食べられました。

◆ハマトビウオの煮付け

 ものは試しと、酒、醤油、みりん、砂糖で煮付けてみました。

ハマトビウオ,オオトビの煮付け

 やはり身はぎゅっと締まり、食感も煮ているのにパサパサした感じになりやすく難しいです。あまりお勧めはできません。

 今回は普通に一気に煮付ける方法で作りましたが、もっと時間をかけてことこと煮込んで身の中にまで味が染み込むようにすればまた違った感じになるかもしれません。


 
 

UP