アイナメ/アブラメ/アブラコ:生態や特徴と産地と旬

アイナメ/アブラメ

●アイナメの生態や特徴

◆アイナメとは

分類:魚類 > 条鰭綱 > カサゴ目 > Hexagrammoidei(アイナメ亜目) > アイナメ科 > アイナメ属(日本海洋データセンターより)

学名:Hexagrammos otakii Jordan & Starks, 1895

学名:Fat greenling/Green ling

和名:あいなめ/鮎並/鮎魚女/愛魚女/相嘗

別名:アブラメ、アブラコ、モミダネウシナイ、ネウ

 アイナメはアイナメ科アイナメ属の一種で、アイナメ科はスズキ目に分類する説とカサゴ目に分類する説があり、ここでは日本海洋データセンターの分類にならっている。

 アイナメに外見が似るホッケはアイナメ科ではあるがホッケ属として別属に分類されている。アイナメ科にはクジメなど1属6種が含まれている。

◆アイナメの地方名

 アイナメは防波堤などからの釣りの対象としても人気があり、日本各地の沿岸で古くから親しまれてきたことから各地で様々な呼称がつけられている。

 アイナメは漢字で「鮎並」「鮎魚女」と書くが、これは鮎と同じように縄張りを持つことやぬめりがあることに由来すると言われている。地方によっては青森県をはじめ大阪や香川、徳島などの周辺では「アブラメ(油目)」、北海道では「アブラコ(油子)」と呼ばれ、これは脂がのった魚ということからとも、体表が油を塗ったようにぬめっているからともいわれている。中には愛媛県や広島県あたりでは「モミダネウシナイといった面白い呼び名もある。これは翌年にまくための種籾まで食べてしまうほどこの魚が美味しいからだとか。

 その他、宮城県の牡鹿あたりなど南三陸では「ネウ」と呼ばれている。また、東北や京丹後辺りでは「シジュウ」とも呼ばれているが、これはアイナメは始終いるからだそうだ。

◆アイナメの生態

 アイナメは北海道から九州に至る日本各地の沿岸でみられ、水深30m以浅の藻が繁茂する岩礁性の沿岸部に群を作らず縄張りを作って生息し、エビやカニなどの甲殻類をはじめ、小魚や多毛類などの動物を捕食する。

アイナメ

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は北海道全沿岸、青森県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、青森県〜九州南岸の大平洋沿岸、瀬戸内海となっている。また、海外においては黄海・渤海、浙江省、朝鮮半島全沿岸、済州島、ピーター大帝湾、沿海州北部、サハリン南部にも分布する。

◆アイナメの産卵

 アイナメの産卵期は概ね10~1月で、寒い北海道などではそれより早く9月頃から年内までに終えるようだ。この時期になるとオスの体表には婚姻色と呼ばれる金色に近い黄色が現れ、これをワタリとも呼ぶ。

 産卵期を迎えると比較的浅い場所に移動し、オスが産卵場所を確保し、そこにオスがメスを誘い込む形で産卵が行われ、時に何尾ものメスに卵をうませたりもする。その後オスは孵化するまでの約1ヶ月間、新鮮な海水をヒレなどで循環させながら他の魚に食べられないよう保護し続ける。イクメン魚なのだ。

 アイナメには「鮎魚女」、「鮎並」、「愛魚女」,「相嘗」などいくつもの当て字が存在します。鮎という字が使われるのは、成熟した鮎に似ているからという説や、アユと同じように縄張りを持つからともいわれています。

◆アイナメの特徴

 アイナメは市場でよく目にするのは30~40cm程のものが多いが、大きいものになると60cmを超えるものもいる。

アイナメ

 アイナメの体形はやや片が高くなった紡錘形で、カサゴの仲間だが、背ビレの棘は硬くなく前部と後部がつながって長く尾の付け根まで続いているのが特徴。そして尾ビレの先端は丸みが無くまっすぐ終わっている。

アイナメの側線

 体側には中央にしっかりと1本エラから尾の付け根まであり、それ以外にも背ビレに沿って2本、腹ビレに沿って1本、臀(しり)ビレに沿って1本の合計5本も側線がある。側線器官として機能しているのはメインの1本だけで、他の4本は飾りでしかないという研究結果もある。

 体色は棲息場所によってかなりの差があり薄いベージュから黒に近い褐色まで様々で、不明瞭なまだら模様が付いている。写真のものは色が濃いものは三重県産で、薄い方は岩手県産と黄色っぽいのは北海道産のもの。

 近縁のホッケ属とは背ビレ中央で前後にくびれがあるアイナメに対しホッケ属にはないかあっても浅いこと、それに尾ビレ後端がアイナメは2叉せず真っ直ぐなのに対しホッケ属は2叉しているので区別ができる。

アイナメとホッケの違い

 近縁種のクジメとは体側の側線がアイナメが5本あるのに対しクジメは1本であること、そして尾びれ後端がアイナメはまっすぐでクジメはやや丸みを帯びていることで区別できる。

●アイナメの主な産地と旬

◆主な産地と生産量

 主な産地としれられているのは北海道や青森県から岩手県福島県の東北地方から茨城県、千葉県。西の方では伊勢湾や瀬戸内海などで、太平洋側でも黒潮にさらされるところではあまり獲れないようだ。

◆アイナメの漁獲時期と旬

 アイナメの産卵期は10月頃から1月にかけてで、北海道など寒い北では9月頃からとなる。

 年間を通して水揚げがあり、味的には大きくは変わらないようだが、身が充実して最もおいしくなるのは春から夏にかけてとなり、価格もその時期が最も高くなる傾向にある。

 釣りでは10月から1月頃が最も釣れる時期と言われているが、この時期は産卵のため浅瀬に寄って来て、産卵場所を求めて泳ぎ回っているので釣りやすくなるのだと思われる。

旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
アイナメ                        
釣りシーズン                        

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