大和ルージュ:来歴や特徴と産地と旬

赤いスイートコーン 大和ルージュ

●大和ルージュとは

 「大和ルージュ」は大和農園が開発した日本初となる赤色のスイートコーンです。

◆大和ルージュの来歴

 「大和ルージュ」は奈良県の種苗メーカーである株式会社大和農園が開発した実の表面が赤いスイートコーンの登録商標で、品種名は「YSCR-2202」となっています。流通上の名称は「大和ルージュ」として2022(令和4)年6月に登録出願されています。

 赤い実のトウモロコシと言えば2019年に登場した「もちもち太郎パープル」というのがありますが、これはスイートコーンではなく、「糯(もち)種トウモロコシ」あるいは「ワキシーコーン」と呼ばれるタイプのものでした。

赤いスイートコーン 大和ルージュ

 実はこの「もちもち太郎パープル」も同じ大和農園が開発した品種です。「大和ルージュ」の食味は今時の甘さ重視の高糖度コーンではなく、甘さはそこそこで、トウモロコシらしい滋味な深い味わいのスイートコーンで、食べた時の印象が「もちもち太郎パープル」を思わせるところがあります。ひょっとしたら交配に用いられているのかもしれません。

 いずれにしても、数あるスイートコーンの品種の中で実が赤いのは初めてで、この綺麗な色は使い方によってとても面白い料理になりそうです。

 大和農園では2022年4月からTwitterやInstagramに公式ページを設け、この赤いスイートコーンの普及に力を入れています。2022年8月現在の時点で既に希望する農園に直接種子が届けられ栽培出荷が始まっていますが、正式な種子の販売は2022年10月からと発表されています。

◆大和ルージュの特徴

 「大和ルージュ」の果実は、外皮は一般的なスイートコーンと同じ黄緑色ですが、ヒゲは濃紫色で、皮をむくと中の実はボルドーの赤ワインを思わすような濃い赤紫です。ただ、実全体が赤紫色という訳ではなく断面を見ると分かるように実の上半部だけで下の部分は黄色く、更に実を切ると赤いのは表皮の部分だけで、身の中は全体に黄色いです。

赤いスイートコーン 大和ルージュ

 途中で折ってみた断面はこの通り。外周が濃い赤紫色で実の下部は黄色く、そして軸の部分がまた赤紫色になっています。

赤いスイートコーン 大和ルージュ

 食べた食感は今時のとても甘く柔らかいタイプではなく、一昔前のスイートコーンを思わせるような粒がやや硬めで、柔らかい甘みとコクのある味わいで美味しいです。糖度は一般的な甘いスイートコーンが20度前後なのに対し、今回購入した「大和ルージュ」は16度ほどでした。それでも甘味としては十分だと感じます。

●大和ルージュの美味しい食べ方と料理

◆大和ルージュの色素はアントシアニン

赤いスイートコーン 大和ルージュを茹でているところ

 「大和ルージュ」の赤紫色の色素はアントシアニンと呼ばれるフラボノイド一種で、熱に弱く水に溶けやす性質を持っています。

 そのため、一般的なスイートコーンと同じように塩水で茹でると写真のようにゆで汁に色素が溶けだし、コーンの色が抜け、煮汁が赤くなります。どれくらい抜けてしまうのか、実際に茹でてみたものが下の写真です。折角の美しい濃い赤紫色が中途半端な色合いになってしまっています。

赤いスイートコーン 茹でた大和ルージュ

 また、抗酸化作用、がん予防効果、視機能改善作用、血小板凝集阻害作用など様々な機能性が注目されているアントシアニンが煮汁に溶けだしてしまうのはもったいないですね。せめてこの煮汁も使うような料理を考えたいところです。

 このことから、「大和ルージュ」は茹でるのではなく、蒸すかそのまま焼くか、あるいは電子レンジにかけて火を通すことをお勧めします。

◆大和ルージュの焼きトウモロコシ

 大和ルージュにサッと水をかけ、ラップで巻いて600Wの電子レンジに4分ほどかけ、醤油を塗ってグリルで焼き上げたもの。

赤いスイートコーン 大和ルージュの焼きトウモロコシ

 焦げた醤油の香ばしい香りと、トウモロコシの風味がよく合い、噛みしめるほどに深みのある味わいが口に広がります。

◆「大和ルージュ」の炊き込みご飯

 「大和ルージュ」の実を軸から包丁で削ぐように切り落とし、その実と軸も一緒に炊き込みます。

赤いスイートコーン 大和ルージュを炊き込む

大和ルージュ 1本分

米 2合

水 米2合に応じた分量

塩 小さじ1杯

バター 30g

 水は普通に米を炊く時と同じ分量で丁度いいです。炊き上がったら軸は取り除き、バターを混ぜ込みます。

赤いスイートコーン 大和ルージュの炊き込みご飯

 また、軸だけ米と炊き上げ、実(粒)はフライパンでバターと醤油で炒めたものを炊き上がったご飯にまぶす方法もあります。こちらは醤油の焦げた香ばしさが加わり、これも美味しいです。

◆「大和ルージュ」のポタージュ

 「大和ルージュ」をポタージュにすると赤茶色のポタージュになります。

 フライパンにバターを入れ、スライスしたタマネギをしっかりと炒める。そこに「大和ルージュ」の実と軸を加え、更に軽く炒める。

 ブイヨン(市販のコンソメを解かした湯でも可)を注ぎ、実が柔らかくなるまで煮る。

 ミキサーにかけて裏ごしする。

 再び火にかけ、水か牛乳を加え硬さを調節し、塩で味を調える。

赤いスイートコーン 大和ルージュのポタージュ

 暖かいポタージュも美味しいですが、暑い季節なので冷製スープにするのもお勧めです。

赤いスイートコーン 大和ルージュの冷製スープ

●大和ルージュの主な産地と旬

赤いスイートコーン 大和ルージュ

◆主な産地と生産量

 「大和ルージュ」はまだデビューしたばかりの新品種で、まだ主な産地といえる状態ではありませんが、徳島県東みよし町では2019年から栽培している「もちもち太郎」に続き、“町おこしプロジェクトとして「大和ルージュ」の栽培が始まっているようです。

 来年2023年以降は他の産地でもこの珍しい赤いスイートコーンを見かけるようになるのではと思います。

 撮影試食した「大和ルージュ」は滋賀県高島市のみなくちファームさんから仕入れたものです。

< 出 典 >

※ 「日本初!赤いスイートコーン」大和農園 おしらせ 2022.06.21

※ 「RedCorn🌽🔴【公式】大和農園 <赤いスイートコーンを広めたい」大和農園公式Twitter

※ 「redcornys」大和農園公式Instagram

皆さんで是非このサイトを盛り立ててください。よろしくお願いします。