ヒゲナガエビ/本えび/タカエビ:生態や特徴と産地や旬

ヒゲナガエビ/本えび/タカエビ

●ヒゲナガエビの生態や特徴

◆ヒゲナガエビとは

分類:ホンエビ上目 > 十脚目 > 根鰓亜目 > クルマエビ上科 > クダヒゲエビ科 > ヒゲナガエビ属 > ヒゲナガエビ(BISMaLより)

学名:Haliporoides sibogae (De Man, 1907)

和名:ひげながえび/髭長蝦

英名:royal red prawn、pink prawn

別名:ホンエビ/本えび(静岡)、タカエビ(鹿児島)、トロえび(静岡)、薩摩甘海老(鹿児島)、ガスエビ(愛知)、アカスエビ(愛知)

 ヒゲナガエビはクダヒゲエビ科に分類される深海エビの一種で、駿河湾から鹿児島南西の大陸棚にかけての太平洋沖で深海底引き網で漁獲される。駿河湾辺りではヒゲナガエビを「本えび」あるいは「トロえび」という。また鹿児島では「タカエビ」といいこれを干したものを正月の雑煮の出汁に使う。

 ヒゲナガエビは身が柔らかく甘味があり美味しいのだが、深海底引き網で漁獲されることや傷みが早いため、これまでは主に産地で安価なエビとして消費されてきたが、近年こうした魚介類も注目されるようになり冷凍品をよく見かけるようになった。

◆ヒゲナガエビの生態

 ヒゲナガエビは水深200~600mの深海にすむいエビで、薩摩半島南西海域では325~420mの砂~細砂底に多い。

 日本近海では駿河湾、遠州灘、熊野灘、薩摩半島南西海域に多く分布し、海外ではインドネシア・オーストラリア東南沿岸にも分布する。

◆ヒゲナガエビの特徴

 ヒゲナガエビは体長15cmほどで大きいものでは20cmにもなる。体全体に細かい毛があり体色は全体に淡いピンクで額角は短く、上縁に6~9歯、胃上歯が2~3、下縁に1~3歯あり、額角は弓なりにやや下方に曲がるものが多い。

ヒゲナガエビ/本えび/タカエビ

 第1蝕角は頭胸甲より長く、第2蝕角は体長の3倍にも達し、名称の由来となっている。

 脚は後方ほど長く、第5脚は甲長の4倍以上ある。ただ、とても細く、長いひげ同様漁獲時などに切れてしまうものも多い。

●ヒゲナガエビの主な産地と旬

ヒゲナガエビ/本えび/タカエビ

◆主な産地と漁獲量

 ヒゲナガエビは沖合底引き網漁で漁獲されています。主な産地は駿河湾に面した静岡県、愛知県、三重県、鹿児島県、宮崎県などです。

 全国の漁獲量統計はなくどれくらい獲れているのかは分かりませんが、鹿児島県水産技術開発センターの広報誌(※5)によると、鹿児島県での漁は昭和44年から始まり、かつて多きときは90隻で年間500トンも水揚げがあったのが、平成4年には110トンまで減り、その後資源保護策がすすめられ、平成21、22年は130トンまで回復してきたそうです。

◆ヒゲナガエビの漁獲時期と旬のカレンダー

 ヒゲナガエビの漁期は産地によって多少の違いがあるようで、夏の間禁漁期間となっているところが多いようです。

 9月以降はどこも漁期となっており、愛知のプライドフィッシュでは秋の魚となっています。一方、講談社の「旬の食材」では冬の食材として扱われていたりと旬は夏以外というくらいしか分かりません。

 深海にすむエビなので年間通して食味的にはあまり差がないと思われます。

ヒゲナガエビ 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
静岡                        
鹿児島                        
宮崎                        
愛知                        

< 出 典 >

 ※1「原色日本大型甲殻類図鑑(Ⅰ)」三宅貞祥著 保育社 p.5 

 ※2「食材魚貝大百科①」平凡社 P.012

 ※3「旬の食材- 冬の食材」 -講談社 p.92

 ※4「秋 駿河湾の本えび」全国のプライドフィッシュ 全国漁業協同組合連合会

 ※5「ヒゲナガエビの漁獲状況について 」うしお 第331号 平成23年11月 鹿児島県水産技術開発センター

 ※6 Haliporoides sibogae WoRMS

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