アケガイ(朱貝):生態や特徴と産地や旬

アケガイ 朱貝 スダレガイ Paphia vernicosa

●アケガイの生態や特徴

◆アケガイとは

分類:二枚貝綱 > 異歯亜綱 > マルスダレガイ目 > Veneroidea(マルスダレガイ超科) > マルスダレガイ科 > Paphia(BISMaLより)

学名:Paphia vernicosa (Gould, 1861)

和名:あけがい/朱貝

別名:スダレガイ、アケスダレ、アブラガイ

 アケガイはマルスダレガイ科スダレガイ属の一種で、近縁種のスダレガイとよく似ていることもあり、市場では「スダレガイ」として扱われることも多く、今回入手した京都中央卸売市場でもそうだった。

 「アケガイ」は漢字では「朱貝」と書くが、これは脚の部分の肉が赤いことに因む。

 食味はハマグリのような貝らしい旨味があり、アサリよりも大ぶりで赤い脚がややどぎつい気もするが華やかな彩となる。値は比較的安い。

◆アケガイの生態

アケガイ 朱貝 スダレガイ Paphia vernicosa

 アケガイは北海道南西部から九州にかけて分布し、水深10~50mの砂底に生息する。

 砂底に身を沈め、入水管と出水管の二股に分かれた水管を伸ばし、海水をろ過しながらプランクトンなどを越して食べる。

◆アケガイの特徴

アケガイ 朱貝 スダレガイ Paphia vernicosa

 アケガイは大きいものだと殻長8cmほどになる。殻は硬く厚みがあり、長楕円形で膨らみはやや弱い。

 殻表は低い同心円肋が顕著だが、殻頂付近では平滑になっており、よく似た近縁種のスダレガイと見分けるポイントの一つとなっている。

アケガイ 朱貝 スダレガイ Paphia vernicosa

 殻表の色は生息環境などによりベージュ系から濃いブラウン系までさまざまで、不明瞭なジグザグ模様が入っているものが多い。また、全体に艶がある。

 軟体部はアサリなどとほぼ同じ造りだが、脚の部分が朱色で、水管は途中から二股に分かれている。

殻を剥いたアケガイ 朱貝の身 スダレガイ

 殻の内側は白く、殻頂付近が黄色い。

アケガイの殻の内側 朱貝 スダレガイ

●アケガイの主な産地と旬

アケガイ 朱貝の身 スダレガイ

◆主な産地と漁獲量

 アケガイはまとまって獲れないのか、市場には不定期にしか入ってこない。産地で目にするのは愛知県。

◆アケガイの漁獲時期と旬

 アケガイは春から初夏にかけてが美味しい旬と言われている。今回入手したのは5月中旬。

旬のカレンダー
旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
アケガイ                        

< 出 典 >

 ※「日本近海産貝類図鑑 第二版」奥谷喬司編著 東海大出版部 

 ※「食材魚貝大百科 ②」平凡社

 ※「旬の食材- 春の食材」 -講談社

●アケガイの目利きと食べ方や料理

◆アケガイの目利きのポイント

アケガイ 朱貝 スダレガイ Paphia vernicosa

 

◆活きのいいものを

 貝類は生きていることが前提で、水中のものは水管を伸ばし、触ると素早くひっこめるものを選び、水からあげられているものは殻を閉じ、だらりと殻を開けていないものを選ぶ。

◆調理のポイント

蒸したアケガイの身

 アケガイはクセがなく、見た目の肉色の派手さに対して味はまろやか。アサリのような強さはなく、どちらかと言えばハマグリに近く、身は加熱するとしっかりとした歯ごたえとなるが硬すぎるほどではない。

 写真は軽く酒蒸ししたもの。蓋が開いて割と早く取り出したのだが、それでもこれくらい縮んでしまった。

◆アケガイの握りと軍艦

アケガイの握りと軍艦 朱貝 スダレガイ

 アケガイの脚を握りに、貝柱やヒモを軍艦にしてみた。今回は湯通しせず、生のままで作ったが、生ならではの優しい噛み応えと貝の風味が口に広がってそれなりに美味しい。甘味という点ではさっとゆでた方が強くなる。

◆アケガイの酒蒸し

アケガイの酒蒸し 朱貝 スダレガイ

 酒と刻み生姜で酒蒸しにしたもの。アサリに比べ一つ一つが大きいので貝を食べている感が強くテンションが上がる。この赤い色を綺麗、美味しそうととるか、どぎつくいやらしいととるかは個人差があるかも。

 味的には間違いなく美味しい。

◆アケガイの煮付け

アケガイの煮付け 朱貝 スダレガイ

 アケガイを酒、醤油、みりんで煮たもの。煮すぎると硬くなるので、蓋が開いてから少しにて火を止め、そのまま冷ましている。醤油との相性もよく、貝の弾力もあって美味しい。

◆アケガイのアーリオオーリオ

アケガイのアーリオオーリオ スパゲッティ

 フライパンにニンニクと鷹の爪、オリーブ油を入れ、弱火でじっくりと加熱し、香が立って来たら、アケガイとミニトマトを加え、白ワインを注いでフタをしてワイン蒸しにする。アケガイの殻が開いたら一旦貝を取り出し、煮汁を軽く煮詰め、白出汁かだし醤油を少量加える。

 茹で上がったスパゲッティを加え良くなじませたら、胡椒を振って盛り付ける。

 アサリに比べ出汁が弱いので、白出汁かだし醤油をで旨味を補った。

◆アケガイの貝汁そうめん

アケガイの貝汁そうめん 朱貝 スダレガイ

 アケガイを酒蒸しして、そこにめんつゆと水を加えて味を調整し冷蔵庫で冷やす。茹でたそうめん(写真は半田麺)を冷水ですすぎ器に盛り、その上から先のアケガイ汁をかけ、刻んだ大葉とショウガを散らす。

 これがことのほか旨い。少し贅沢にアケガイを使ってしまったかも。

◆アケガイの炊き込みご飯

アケガイの炊き込みご飯 朱貝 スダレガイ

 アケガイの殻を剥き、酒とめんつゆを加えて炊き込みご飯にしたもの。意外に貝の味は柔らかく、ほのかに貝の風味がする感じで、これはこれで美味。アケガイの色合いが良いアクセントになる。


 
 

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