ムツ／鯥／むつ：目利きと料理

　ムツ／鯥／むつを選ぶ際のポイント、目利きや見分け方、さばき方をはじめ、美味しい食べ方と調理方法、主な料理、料理レシピなどを沢山の写真と共に紹介します。

●ムツの目利きのポイント

◆目が澄んでいるもの

　ムツの鮮度を見極める時、４０cm程までの物であれば目が澄んで綺麗か見る。大物は深海に棲んでいるため、漁獲時に水圧の変化で胃袋が飛び出し、目が出目金のように膨れてしまう事があり、そういった場合はあまり参考にならない。

◆エラが鮮紅色の物

　エラの色は目が飛び出していようがあまり影響されないので、エラ蓋を開けてみて中のエラが綺麗な赤い色をしているかチェックする。

◆全体に艶があり身に張りがあるもの

　ムツは水圧が高い深海に棲み、胃袋も大きめなので、新鮮なものでも腹は比較的柔らかい。体全体に艶があり、背を触ってみて固くしっかりとした張りが感じられるものが新鮮。全体にふっくらと太っているものを選ぶが、腹が膨らみ過ぎているものはムツゴが詰まっているのであればいいが、硬いものが感じられるときは胃の内容物（小魚など）が多い可能性もあるので注意しよう。

●ムツの美味しい食べ方と料理

◆調理のポイント

　ムツは脂質が多い白身魚で、身は鮮度が良くても柔らかめで加熱調理しても硬く締まりにくい。大きなものは三枚におろすが、脂分が多く、身が非常にやわらかいのでさばく時は身割れしないよう注意が必要。３０cmまでの小さなものは価格がとても安い割りに味は良く、丸まま調理もしやすく惣菜魚として使い勝手が良い。

　タイやスズキなどの一般的な白身魚とは違い、魚自体に十分な脂分と旨みが含まれているので、必要以上にオイルやバター、クリームなどは使わないような料理に仕上げるほうがより素材の旨さを引き出せる。

◆ムツの刺身

　ムツは鮮度が良いものは刺身も旨い。大型で脂がのったムツはまさに白身のトロといった味わい。身質は柔らかいが、鮮度が良いものは綺麗に角が立ち見た目も綺麗。写真は皮を引かず焼き霜造りにしたもの。皮の香ばしい風味と味と皮の間にある脂の旨味も楽しめる。

◆コムツの焼き霜造り　刺し身

　３０cm程のコムツを三枚におろし、皮を引かずバーナーで皮目を香ばしく焼き上げて冷水で締めたもの。
　脂がのった成魚と比べるとさっぱりとしているが、このサイズでも白身魚としては脂が多いと感じる。柔らかめの身に対し、皮の香ばしさと食感がアクセントになり美味しい。

◆ムツの塩焼き

　ムツはシンプルにグリルや炭火で塩焼きにしても脂がにじみ出てとても美味しい。食べる時にレモンなどの柑橘を絞る。また、オリーブ油を垂らしても旨い。

　写真はコムツの塩焼。このサイズでも十分美味しく、みがふっくらと焼きあがる。

◆ムツの煮付け

　ムツと言えば煮付け魚と言われてきた魚で、脂がのった白身は避け、砂糖、醤油、みりんで煮つけにするのが王道。文句なく旨い。

　身は煮ても硬く締まらず、崩れやすいので切り身の場合は鍋から器に移す時に崩さないよう注意が必要。

　こちらは立派な成魚を三枚におろし、その切り身を煮付けたもの。身のほぐれ具合、食感、脂の具合、甘味全てにおいて完璧でまさに絶品。

　また「ムツコ」はタラコに似た味わいで漁師は煮つけで食べるそうだ。もちろん大きいムツはアラの煮付けも美味。

◆ムツのポワレ

　大きいムツを三枚におろし、塩、胡椒を振って馴染ませた後、オリーブ油で両面焼き上げる。皮目をカリッとなるまでしっかりと焼くのがポイント。中までふっくらと焼きあがる。

◆ムツのアクアパッツアやトマト煮

　大きいムツなら三枚におろし、小さいものは丸まま内臓とエラを取り除いて塩、胡椒を振って馴染ませた後、ニンニクを効かせたオリーブ油で両面さっと焼き上げる。そこに白ワインを注ぎ蓋をして酒蒸しにし、白ワインがある程度煮詰まったところで缶詰のホールトマトを潰して加え、更に煮てところに青菜も加えたもの。

◆ムツの鍋物

　ムツを使った鍋は絶品。身が崩れやすいので、切り身はあまり薄くしない方がいい。まるままの物が手に入ったなら、アラもいい出汁が出るので有効に使いたい。

◆ムツのかぶと焼き

　大きな成魚のムツの頭とカマの部分をグリルで塩焼きにしたもの。この部分は一層脂がのっていて焼くだけで極上の味わい。

◆ムツとナンヨウキンメのカルパッチョ風マリネ

　ムツとナンヨウキンメの身を薄くスライスし、ニンニクと塩コショウ、あればディルなどと共にオリーブ油でマリネにしたもの。スダチをぎゅっと絞っていただく。

◆ムツを使った揚げ物

　脂は多いが、白身魚なので色々な揚げ物にしても美味しい。フライの他、から揚げ、天ぷらにも使える。

◆ムツを使った料理をレシピサイトで探す

　主な料理レシピサイトのムツを使ったレシピのページにリンクしています。参考にされると良いでしょう。

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