ビワマス/びわます/琵琶鱒:生態や特徴と産地や旬

ビワマス/びわます/琵琶鱒

●生態や特徴

◆ビワマスとは

分類:魚類 > 条鰭綱 > 新鰭亜綱 > 真骨下綱 > 原棘鰭上目 > サケ目 > サケ科 > サケ亜科 > サケ属(日本海洋データセンターより)

学名:Oncorhynchus masou subsp. rhodurus Jordan & McGregor, 1925

和名:びわます/琵琶鱒

英名:Biwa trout

別名:アメノウオ

 ビワマスはサケ科サケ属のサクラマスの亜種とされ、日本の琵琶湖にしか生息していない固有種。サーモン程脂っぽくなく、それでいてマスよりも脂がありとても美味しい魚で、天然物は希少性もあり産地の滋賀県でも超高級魚として扱われている。

◆ビワマスの生態

ビワマス/びわます/琵琶鱒

 サケが川から海に下り、成長してまたもとの川に帰ってるように、ビワマスも母川回帰の習性がある。ただ、川から海ではなく大きな湖、琵琶湖に下り、大きく成長したら産卵のためもとの川を遡上する。

 産卵期は10月頃から12月にかけての秋で、春先に孵化した稚魚は5月から6月にかけて、体長5~7cmに成長し琵琶湖に下る。琵琶湖では外来種のブラックバスなどが待ち構えているが、ビワマスの幼魚は川から一気に深場へと直行し、ブラックバスがいる表層や中層にとどまらないため捕食される率が低いとされる。

 琵琶湖に下ってから幼魚は、これまた琵琶湖の固有種アナンデールヨコエビという体長1cm程の小さなエビを主に食べ、更に成長してからはこのエビの他にも稚鮎や、琵琶湖固有種のイサザというハゼ科の小さな魚などを捕食するようになる。

 そうやって3~5年琵琶湖で過ごし、体長35~60cmになり成熟しもと生まれた河川を遡上し産卵する。雄も雌も産卵後は一生を終え死ぬ。

 また、ビワマスはサケと同じように稚魚から産卵期に至るまでの過程で体色や顔つきなどが変化する魚でもある。稚魚には、パーマークと呼ばれるアマゴやイワナにあるような小判型の斑紋があり、琵琶湖に下る前後でこれが薄れ、スモルト化と呼ばれる体色の銀色化や体高の変化が起こる。更に成熟し産卵期を迎えると婚姻色とも呼ばれる黒色と赤紫色の 横縞模様が現れ、雄は上下の両顎が伸びて曲がる鼻曲がりになる。

◆ビワマスの特徴

ビワマス/びわます/琵琶鱒の大きさ

 ビワマスは5年物など大きいものだと60cmを超すものもいるとされるが、一般に食用として出荷されるものは天然物は30~40cmのものが多い。養殖物はもっと小さなものも出荷されている。

 体形はサケと同じようにやや側扁し縦に長い。

ビワマスの脂鰭

 背ビレは体の割に幅が狭く、尾ビレの近く、写真で赤く丸印をしたところに小さな脂ヒレがあり、胸ビレに対し腹ビレが随分と後ろに付いている。

 体色は背が暗緑色で腹は銀白色で背ビレと尾ビレの生え際に黒い斑点が見られる。

●主な産地と旬

◆主な産地と生産量

 ビワマスは琵琶湖の固有種で滋賀県が産地となる。しかし、栃木県中禅寺湖の他、神奈川県の芦ノ湖や長野県の木崎湖などにも移植されているようだが、商業的に漁獲されている訳ではないと思われる。

 琵琶湖への流入河川では古くから人工孵化放流が行われており、近年の漁獲量は20〜50トンで安定しているという。

 また、近年三倍体の雌の養殖技術が開発され、脂ののった養殖物も出回るようになってきた。

◆ビワマスの漁獲時期と旬

 天然のビワマスは資源保護の為、毎年10月1日から11月30日まで禁漁期間とされている。また、漁期であっても全長25cm以下の物は採捕禁止とされている。

 美味しい旬の時期は脂がのった夏。

旬のカレンダー
旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
ビワマス(天然)                    
ビワマス(養殖)                        

 
 

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