新美月（しんみづき）梨の来歴や特徴と産地と旬

●新美月（しんみづき）とは

　「新美月」は新潟県園芸研究センターが「おさ二十世紀」と「豊水」を交配し、得られた実生の中から選抜育成した収穫期は9月中～下旬に収穫できるやや大玉で、適度な酸味によって引き立つ濃厚な甘みが特徴の赤ナシで「新王」の姉妹品種です。

◆新美月の来歴

　新潟県園芸研究センターでは1997（平成9）年度から品種開発の取り組みが始められ、その中で「おさ二十世紀」と「豊水」の交配が行われました。「新美月」はその交配から得られた実生から選抜された品種です。

　まず、2006（平成18）年度に選抜された5系統に残り、2009（平成21年）度、最終的な選抜に残された２系統のうちの一つになり「新美月」と命名。ちなみに、選抜されたもう一つの梨は「新王」で、いずれも種苗法に基づき2011（平成23）年に登録出願、2013 （平成25）年に品種登録されています。

　2015（平成27）年から試験販売が始まり2022年で本格的な出荷から8年目となっています。

　「新美月」という名称は新潟生まれで、美味しい梨を月にみたてて命名されたそうです。

◆新美月の特徴

　「新美月」の果実は平均果重455gでやや大果ですが「新王」よりは小ぶりで、果形は円形で果柄が太く長いのが特徴（収穫時に切断されるので購入時には分かりません）で、肉梗（果梗の周りに果肉がつく）が発生しやすいようです。果皮の色は赤ナシらしい赤褐で果点が密にみられます。

　果肉は比較的柔らかく多汁で、平均糖度：14．3度（園芸研究センター平成18～21年の平均値）、pH4.7で酸味を伴う濃厚な甘さが特徴となっています。

　農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

　果実の形は円形、梗あの深さは浅、梗あの幅は中、がくあの深さは浅、がくあの幅は広、果実の大きさは中、

　果皮の色は赤褐、果点の大きさは中、果点の粗密は密、果面の粗滑（赤なし品種に限る）はやや粗、

　果柄の長さは長、果柄の太さは細、肉梗の有無は有、果芯の形は円心臓形、果芯の大きさは大、

　果肉の色は白、果肉の硬さは軟、果肉の粗密はやや密、果実の甘味はかなり高、果実の酸味は中、果汁の多少は多、

　種子の大きさは中、種子の形は卵形、開花始期はやや晩、成熟期は中、裂果の発生の有無は無である。

　出願品種「新美月」は、対照品種「豊水」と比較して、花弁の数が７枚より多であること、果実の大きさが中であること、肉梗の有無が有であること等で区別性が認められる。

　対照品種「あきづき」と比較して、果実の形が円形であること、果実の大きさが中であること、肉梗の有無が有であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた新美月の食味

　撮影試食した「新美月」は9月22日に届いた9玉入り約3kg／箱で、平均350ｇ足らずの小さいサイズのものでした。

　どれも綺麗な円形で果皮色が濃く、ヘタの切り口を見ると特徴である果柄の太さがよく分かりました。

　果皮はやや硬く皮をむく時にざらざらした感触が刃先から伝わってきます。果肉を食べてみると、食感は硬すぎず柔らかくもなく丁度いい感じで、果汁はそう多くは感じませんでした。しかし、強い甘みとそれに隠れきれない酸味が口に広がりとても美味しいです。ただ甘いだけの梨とは違う濃厚な美味しさが楽しめました。計ってみた糖度はどれも15度以上で高いものは16.6度もありました。

●新美月（しんみづき）梨の主な産地と旬

◆主な産地と生産量

　「新美月」は新潟県のオリジナル品種で、栽培出荷できるのは新潟県内の農園に限られており、市場に出回る数もまだ少ないです。

　令和元年産特産果樹生産動態等調査の時点ではまだデビューして間がなかったことから新潟県の栽培面積は1.7haとなっていますが、その後普及が進められ徐々に広がっていると思われます。

◆新美月の収穫時期と旬

　「新美月」の収穫時期は9月中～下旬です。産地が限られ、栽培面積もまだ少ないため、市場に並ぶ期間も短いです。

品種	8月			9月			10月			11月
新美月

＜ 出　典 ＞

　※　「とっても甘い、新潟県オリジナル日本梨品種｢新美月｣｢新王｣がデビュー！」新潟県　p.0060541 2019年3月29日更新

　※　「【農業技術・経営情報】果樹：新潟生まれの良食味日本なし新品種「新美月」、「新王」について」新潟県　p.0355493 2021年2月1日更新

　※　「登録番号22541　新美月」　農林水産省品種登録データベース