はなよめ:来歴や特徴と産地や旬

大阪 岸和田市産,包近の桃,松本さんの桃,はなよめ

●はなよめとは

 「はなよめ」は山梨県で発見された「日川白鳳」の変異樹で、果形が短楕円で果肉が乳白色、果重が250g程度の桃で、桃の季節到来を告げるように、6月中旬頃から出回り始める早生品種です。

◆はなよめの来歴

 「はなよめ」は山梨県八代町(現在の笛吹市)の志茂勝弘氏が、昭和の末頃、自園の圃場において発見した「日川白鳳」の変異樹を育成増殖した早生品種で、1991(平成3)年に八代町農業協同組合(現 JAふえふき)によって種苗法に基づく登録出願、1995(平成7)年に品種登録されています。

◆はなよめの特徴

 「はなよめ」の果重は250gほど、果形は短楕円形で、果皮は淡桃色で着色は良く、糖度は13.5~15%と高い。酸味は少なく、多汁で繊維も少なく溶質の果肉はとろける様な食感です。

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 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の大きさはやや大(250g程度)、果実の外観は短楕円、果頂部の形は凹、凹みは浅、梗あの深さ及び広さは中、赤道部の縫合線は浅、果頂部の縫合線は中である。

 果皮の地色は乳白、着色は多である。

 切った直後の果肉の色は乳白、果肉内及び核周囲の着色は微、果肉の粗密は中、果肉繊維の多少は少、果皮の剥皮性は中、肉質は溶質である。

 果汁の多少は多、甘味は中、酸味は少、渋味は微、苦味は無である。

 核と果肉の粘離は粘核、核の形は楕円、大きさは中、色は淡褐、核面の粗滑は粗である。

 核割れの多少は中、裂果は無、果実の日持ちは中である。

 「日川白鳳」と比較して、葉縁の波打ちが多いこと、果実の外観が短楕円であること、核面の粗滑が粗いこと等で、「武井白鳳」と比較して、蜜腺の形が腎であること、香気が多いこと等で、「ちよまる」と比較して、切った直後の果肉の色が乳白であること等で、「ちよひめ」と比較して、果肉内の着色が少ないこと、核面の粗滑が粗いこと等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみたはなよめの食味

 2022年6月下旬に撮影試食したものは大阪包近の桃、そこでひと際有名な松本氏の「はなよめ」です。

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 桃の表面には糖度の高さをうかがわせる白い果点がびっしりと現れていました。

 包丁で切った断面を見て分かるように果汁がたっぷり含まれている感じでした。桃の香りもしっかりと出ていて、皮は手でむくことができ、食べてみると、比較的しっかりとした食感がありつつ口の中で優しくとろける感じで、とても強い甘みが広がりました。糖度を計ってみたところ15.8度ありました。

 2021年6月下旬に撮影試食した「はなよめ」は和歌山県産で、全体に綺麗に着色しているものでした。

桃、はなよめ

 縫合線に沿って刃先が種子に当たるまで切り込んで一周させ、左右を手の平で優しく包むように持ってひねると片方の果肉が種子からはがれ、二つに割ることが出来ました。

桃、はなよめの断面と果肉

 果肉はとてもジューシーで柔らかく香りもしっかりと感じられました。糖度は12度前後でしたが、酸味が弱い分甘く感じました。

●はなよめの主な産地と旬

◆主な産地と生産量

全国のはなよめの栽培面積

 「はなよめ」の主な産地は山梨県で、2018(平成30)年産の特産果樹生産動態等調査によると全国の約半分を占めています。次いで熊本県、和歌山県岡山県と続きます。

 桃は品種が沢山あることもあり、桃全体で見ると1%ほどとなっていますが、それでも上位20位以内には入り、早生品種の中では重要な主要品種となっています。

◆はなよめの収穫時期と旬

 「はなよめ」は育成地の山梨県では6月下旬に収穫時期を迎える早生品種となっています。

 市場に出回るのは、早く収穫時期を迎える暖かい産地のものが6月上旬位から、またハウス栽培も行われており、そういったものが5月下旬ごろから出回り始め、産地を変えながら7月中旬辺りまでとなります。
 最盛期の旬は6月中旬から下旬にかけて。

品種 5月 6月 7月 8月
はなよめ                        

< 出 典 >

 ※ 「登録番号4365 はなよめ」品種登録データベース 農林水産省

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