ソラマメ／空豆／そら豆／蚕豆／そらまめ：旬の野菜百科

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●ソラマメ（そら豆）の概要

◆ソラマメ（そら豆）とは

分類：マメ目＞マメ科＞ソラマメ属＞ソラマメ

学名：Vicia faba L.

英名：Fava bean、Broad bean 　仏名：Fèves

中国名：蚕豆

和名：そらまめ

別名：テンマメ（天豆）、ナツマメ（夏豆）、シガツマメ（四月豆）、ノラマメ（野良豆）

　ソラマメはマメ科ソラマメ属で、ダイズ、ラッカセイ、エンドウマメ、インゲンマメ、ヒヨコマメと共に６大食用豆と呼ばれています。チグリスユーフラテス　河流域からエジプトで4000年以上も前から食用として栽培されていたそうです。日本には奈良時代にインドの僧侶が中国を経て持ち込んだと考えられています。

　名前の由来は実が空に向けて実るからという説が良く知られていますが、他にも江戸時代に林羅山が書いた「多識篇（たしきへん）」にはソラマメが蚕（かいこ）が繭（まゆ）を作る時期に美味しくなる豆という意味で「蚕豆」と書かれているそうです。また、サヤの形が蚕を思わせるからという説もあります。

　色々な呼び名があり漢字で「蚕豆（そらまめ）」また、「空豆（そらまめ）」とも書きます。その他にも「天豆（てんまめ）」と書かれる事もあります。名称もいろいろあり、ノラマメ（野良豆）やシガツマメ（四月豆）、ナツマメ（夏豆）とも呼ばれています。

　ソラマメは世界中で食べられる食材で、野菜として未熟な若い豆を茹でるなどして食べるほか、完熟させた豆を乾燥させたものはフライビーンズ（いかり豆）や菓子の原料に使われるほか、香川県では醤油煮した「醤油豆」と呼ばれる郷土料理があります。ちなみに中国の豆板醤に使われる「豆」はこのそら豆です。

●未熟豆と完熟豆

　ソラマメは完熟したものを乾燥させて使う種実用と、未熟なうちに収穫する青果用とがあります。種実用は黒っぽく、煮豆やおたふく豆、甘納豆などにします。この項では主に青果用について見ていきます。

　ソラマメのサヤを開けると、中には白いフワフワのクッションに守られるように綺麗な豆が並んでいます。

　この白い綿のような部分は葉や根から送られてきた栄養を蓄える働きがあり、豆の成長に合わせて豆に養分を送っているそうです。この綿の部分、スプーンなどでかき集めて食べてみるとほんのり甘くて風味もいいんですよ。

　まるで高価な品を運ぶケースのようですね。一粒一粒大切に守られている感じが他の豆類とは違います。

●ヨーロッパでも身近な野菜です

　そら豆はヨーロッパでも比較的身近な野菜として親しまれいます。フランスでは「フェーブ（Fève）」イタリアでは「ファーヴェ（Fave）」と呼ばれています。写真はオランダの青果業者に集荷されたフェーブ。

●ソラマメ（そら豆）の品種

●そら豆の主な品種

　国内の市場に出回っているもののほとんどは一寸そら豆と呼ばれるタイプで、一つのサヤに２～４粒のものが主流となっています。その他「早生そら豆」と呼ばれるものは一寸そら豆よりも小粒で多収ですが、「おいしいのは３日だけ」と言われるほど収穫後食味落ちが早い品種です。また、香川県で作られてきた「さぬき長莢」というサヤが長く小ぶりの豆が5～6粒入っているタイプのものもあります。実が赤い初姫という品種もあります。

　近年は発芽させた若い芽を食用として「そらまめ豆苗」と呼ばれるものも出回っています。

ソラマメ（蚕豆／そらまめ）の品種紹介ページ一覧

一般的な一寸そら豆（蚕豆／そらまめ）

　一般に広く栽培されている一つのサヤに２～４粒はいる品種群

河内一寸そら豆　ソラマメ

　明治時代から大阪の南河内地区で受け継がれてきた伝統品種。奇跡的に農家のお婆ちゃんが納屋に残していた本家本元の種から数年かけて復活したもの。

初姫（はつひめ）　実が赤いそら豆

　ミカド協和が販売している、サヤは一般的なソラマメと同じ緑色ですが、中の豆の表面が赤い品種。

ファーベ（Fava）　ヨーロッパのそら豆

　イタリアのそら豆で、長いサヤに特徴があり、そのまま生でも食べることができる。

フェーブ（Fève）　ヨーロッパのそら豆

　Fève（フェーブ）として売られていたもので、ヨーロッパで一般的に出回っているものの一つと思われます。特徴は日本の一寸そら豆に比べてサヤが長いのが特徴

フェーブ／Fève　ヨーロッパのそら豆２

　Fève（フェーブ）として売られていたもので、日本の一寸そら豆に比べてサヤが長く色が明るい黄緑で、中の豆に赤い色が混じっているのが特徴

そら豆　豆苗

　そら豆を発芽させた豆苗。一般的な豆苗に比べ、豆が大きい分やはり芽も太く大きいです。

■そら豆の産地と旬の時期

●ソラマメの主な産地

　ソラマメは全国各地で栽培出荷されています。2022（令和4）年産野菜生産出荷統計を見ると、全国の収穫量は13,200トンとなっています。

　鹿児島県は産地として知られ、2015年までは毎年5000トン前後収穫し全国トップでしたが2016年に急激に2590トンまで落ち千葉県に首位を譲り、その後も3000トン台となっています。2022（令和4）年では鹿児島が3,230トンで最も多く、次いで千葉県が2,210トンとなっており、次いで茨城県が1,230トンと続き、この３県で全国のほぼ半分を占めています。