■横野柿(よこのがき)とは

 横野柿は山口県下関市安岡町横野で江戸時代から栽培されてきた渋柿の一種で、外見や食味の良さはあまたの渋柿の中でも極めて上品です。現在の主な産地は愛媛県で、旬は11月下旬頃から12月いっぱいです。

●横野柿の来歴

 横野柿は今から約300年以上前(江戸時代宝永年間辺り)に山口県下関市安岡町横野の古谷氏の竹林に自生していた柿を、その村の新井万次郎氏が自宅の庭に移植したのが起源とされています。

横野柿(よこのがき)

 この柿の果実があまりにも外観や食味の良さから、たちまち横野一帯に広まったのですが、当時はこの柿が他に広まるのを良しとせず、郷規によって他郷への穂木の分与を謝絶してきたのでした。

 時は移り明治30年にこの郷規が解かれ、39年、44年に機会があり明治天皇に献上したことでこの柿が全国に知られることとなりました。

 昭和初頭には優良な渋柿として全国の柿産地に広まり、一時は全国で650haもの園地で栽培されたようですが、後期落果や脱渋の問題などからその後他の産地からは姿を消していきました。

 その原木は昭和6年に国の天然記念物に指定されましたが後に枯れてしまい、現在はその原木の2代目が新井家の庭にあります。

●横野柿の特徴

 横野柿は平均果重270gほどと「富有柿」より一回り大きく、やや腰高でヘタの部分が少しくぼんでおり、縦に半分に切った断面が台形に近い形をしていて、全体的に独特の丸みがあります。ただ、玉揃いはあまりよくはないようです。

真上、真横から見た横野柿(よこのがき)とその断面

 果皮は比較的明るいオレンジ色で艶があり、果肉は淡い橙色で肉質は緻密でしっかりとしていますが、脱渋されたものは口に入れると柔らかくとろける感じでとても甘く、糖度は20度前後にもなります。種子は無いものもおおいですが、2~3個入るものもあります。

 これまでこの横野柿は渋抜きが最も難しい品種とされ、生産者も減りつつあるようですが、近年個包装による脱渋方法の研究が進みかなり安定した状態のものが流通するようになってきました。

 肉質が粉質のため、熟し柿や干柿には向いていません。

■横野柿(よこのがき)の主な産地と出回る旬の時期

●主な産地は愛媛県

横野柿(よこのがき)

 横野柿は脱渋が難しいことや、生産者の高齢化、後継者不足など様々な理由で栽培面積は減ってきています。農林水産省がまとめた平成22年産特産果樹生産動態等調査では愛媛県で43.9haと高知県で1.4ha栽培されていましたが、令和2年の記録では愛媛県の27.9haのみとなっています。

 量が少なく希少な柿の1つで、大きく形や品質が良いものは柿の中でも高級品として扱われています。JA周桑の販売所「周ちゃん広場」から出荷されたものが百貨店などで販売されています。

●横野柿の収穫時期

 横野柿は晩生種で、収穫時期は11月中旬頃から12月中旬辺りまでとなっています。収穫後予措時間を経て出荷されるので、出回り始めるのは11月下旬頃からとなり、12月いっぱいまで出回ります。

旬のカレンダー 10月 11月 12月 1月
横野柿                        

< 出 典 >

 ※ 「横野(よこの) PC渋」カキ品種名鑑 遠藤融郎著 p.96

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